2020年度中国・四国地区公開シンポジウム(2020年11月21日)

日本教育学会2020年度 中国・四国地区活動

公開シンポジウム
「学校の日常が突然に引き剥がされたとき:戦争、自然災害、パンデミック下の学校教育」

 

日本教育学会 中国・四国地区では下記の公開シンポジウムを開催いたします。

日本教育学会会員のみなさまはオンラインでの参加となっておりますので、ご参加される場合はGoogle Form(https://forms.gle/qUcQZ8tH53F7VbpN8)よりお申込みください。参加URL等をお送りいたします。

 

日時:2020年11月21日(土)13:30-16:30(対面とウェブの併用)

参加費:参加費は無料です。事前の申し込みが必要です。

 

【趣旨】

  2020年2月27日木曜日の夕刻、安倍首相(当時)は全国の小中高・特別支援学校に対し、翌週月曜日の3月2日から春休みまでの一斉臨時休業を要請する。ほとんどの子どもたちにとって翌日の28日金曜日が突然に年度最後の登校日となり、3月に計画されていた様々な学校行事は中止・大幅変更を余儀なくされた。新年度に入っても新型コロナウイルス感染症の蔓延は収束せず、北海道に続き4月7日には7都府県に、4月16日には全国に緊急事態宣言が発出される。これに伴い学校も連休明けの5月6日まで再び休業とされ、さらに5月末まで休業が延長された。

  3月初めから5月末までの学校休業中、児童生徒学生も教職員も何もしていなかったわけではない。思い出作りの最後の一ヶ月を奪われた卒業生のために、新しい学校に不慣れな新入生のために、クラブ活動を頑張ってきた部員のために、教職員や保護者や児童生徒学生自身が様々なことを試みたし、自宅で学習が進むよう様々に工夫したはずである。そうした試みや工夫の中には、6月以降の学校の「新しい日常」において活用されているものもある。

  突然に学校が閉じられたとき、学校関係者が維持しようとしたものは何であったのか。どのような困難に直面し、何を諦め、何をどのように克服したのか。また、ルーチン化した日常に覆われたまま意識する必要のなかった学校教育に対する私たちの前提を、COVID-19パンデミックが突然に露呈した。私たちが暗黙のうちに依存していた前提は何であったのか。そのうち新しい状況において何が更新され、何が維持されるべきなのか。

  突然の学校休業から半年余りが過ぎたいま、今後の新常態下の学校教育を構想するためにも、パンデミックが露呈した学校教育に対する私たちの前提を明確にし、学校でできること・学校教育がすべきことを展望しておきたい。

  もちろん、当然の日常が突然に切断されるのは、パンデミックに限ったことではない。空爆や地震・水害によってもそれまでの日常が継続不可能となる。それぞれ学校教育の制約の仕方は異なるであろうが、過去の戦時や災害時にあって学校関係者が何を大切にし、何を試み、どのような新しいやり方を獲得したのかを知ることから、今後に備えることができるのではないか。

  本シンポジウムでは、学校の日常を突然に切断するものとして、パンデミックに加え、戦争と自然災害を取り上げて、大門正克(早稲田大学)、田端健人(宮城教育大学)、川口広美(広島大学)の三氏に報告いただく。まず、日本近現代史を専門とする大門氏は、戦中戦後日本の「生存」の歴史を解明する研究の一環で戦時下の子どもの日常に光を当てられている。田端氏は、現象学の手法を用いた授業分析で業績を積まれた研究者であるが、『学校を災害が襲うとき:教師たちの3.11』(春秋社、2012年)においては、東日本大震災の被災下で職責を果たそうとする教師の姿を描かれている。川口氏は、市民性教育の切り口から新しい時代の教育を模索されている社会科教育学者であり、今回の学校休業時にいち早く教員向けのオンラインセミナーを発信されている。

 

【司会者】

 三時眞貴子(広島大学)

 中坪 史典(広島大学)

【提案者】

 川口 広美(広島大学)

 田端 健人(宮城教育大学)

 大門 正克(早稲田大学)

【指定討論】

 丸山 恭司(広島大学)

※なお、本公開シンポジウムの主催は第72回中国四国教育学会大会です。同学会は2020年11月21日(土)・22日(日)に広島大学・ウェブ開催にて行われます。