日本教育学会中国四国地区では、中国四国教育学会との共催で以下のシンポジウムを開催いたします。ご関心のある方は奮ってご参加ください。
公開シンポジウム「AI時代の学びのあり方」
【企画趣旨】
日々進化を遂げる人口知能(AI)は人間の生活世界の隅々にまで影響を及ぼしている。その広がりは、「AIが仕事を奪う」というメッセージに象徴されるような人間労働の代替装置を超越し、局地紛争における兵器の自動化にまで及ぶと言われている。また、デジタル技術の飛躍的発展に伴い、AIによって生成される多種多様な情報は、選挙キャンペーンにおけるフェイクニュースなどのように、社会に多大な影響を及ぼしている。このように、急速に進化するデジタル技術とAIの時代において、学びの形や教育のあり方について幅広く考察する機会として本シンポジウムを設定した。
これまでの学校における練習(Üben)は知識・技能の定着や認識の進化・発展に寄与する重要な学びの一形態であると、捉えられてきた。現行の学習指導要領においても「思考力・判断力・表現力」の育成及び「学ぶ意欲」の醸成と同様に、「生きて働く知識と技能」の獲得が重視されるのも、児童・生徒の自立に対する教育効果が認識されてきたためである。
他方、伝統芸能の伝承場面では、学校教育とは異なる練習の方法と意義が確認されてきた。ここで行われる学び、すなわち模倣による文化の伝承は、先行世代と後発世代との人間関係を形成し、同時に、固有な地域の文化と歴史を共有することでコミュニティの形成と発展に寄与するものであった。
また学校教育においても、とりわけ芸術関連科目は日本の伝統文化の継承を目標としてきた。その代表である小学校における国語科の書写では、高学年で年30時間程度の毛筆学習が設定されており、学習指導要領では「適切に運筆する能力の向上につながるよう,指導を工夫すること」が内容として特記されている。
人間を凌駕する学習能力と現実を自在に加工するデジタル技術をあわせもつAIの登場は、上述の学びにどのような影響を及ぼすのか。本シンポジウムでは、国内外の研究者・実践家による練習をめぐる報告をもとに、「AI時代の学びのあり方」を広く検討していく。
【実施時期】2024年11月23日(土)13:30-16:30
【実施場所】対面開催(会場:岡山大学)
【司会】尾島卓(岡山大学)、梶井一暁(岡山大学)
【提案】
マルテ・ブリンクマン(Malte Brinkmann)(フンボルト大学ベルリン)
「デジタル時代の身体性・学習・教育ーその可能性と限界」
前田 秀雄(書家・篆刻家、岡山大学等非常勤講師)
「筆とiPhone 」
渡部 信一(東北大学名誉教授)
「AIと「学び」、そして身体性 」
参加方法等の詳細については、中国四国教育学会第76大会のページをご参照ください。
https://cssse.hiroshima-u.ac.jp/html/meeting.html