特別課題研究
特別課題研究Ⅰ スクール・セクハラ問題の総合的研究(担当:山口和孝・勝野正章理事)
企画者 | 山口和孝(埼玉大学・名誉教授) |
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司会者 | 内海崎貴子(川村学園女子大学) |
報告者 | 堀川修平(東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科博士課程) |
類家由梨奈(埼玉大学大学院教育学研究科修士課程) | |
渡辺大介(埼玉大学) | |
池谷孝司(共同通信社) | |
指定討論者 | 蔵原三雪(横浜創英大学) |
大学におけるキャンパス・セクハラは、教師対学生の関係のみならず、教育実習先、アルバイト先などでも発生する。教育実習における学生被害の調査によれば、心身への打撃により実習継続が不可能になったケースや進路変更を余儀なくされるケースが相当数ある。教育実習におけるセクハラは、スクール・セクハラとキャンパス・セクハラが交錯する領域であるという特殊な領域にあり、それへの対応は実習校確保という利害関係から、適切な対応なほとんどなされていない。また、男女雇用均等法によって事業主の義務とされるハラスメント防止とそれへの対応も、「教育の場」として特段に敏感でなければならない大学を含めた教育機関で、形式的整備の域を超えてはいない現状がある。
このような問題意識にもとづいて、スクール・セクハラ調査チームは、春学期の教育実習が終了した時期に、教育実習にかかわるセクハラの実態調査を、国立・公立・私立大学を対象として実施し(約150校程度予定)、そのデータの分析を行う計画である。それは、教員養成系大学・学部・課程で「見過ごしてきた」教育的な問題の所在を明らかにすることができるだろう。
今年度の学会大会では、その成果を確定的な形で示せるかどうか不確定な要素もあるが、スクール・セクハラに関する問題提起を行い、調査の結果(ないしは経緯)を発表し、教育実習にかかわるセクハラ問題について意見交換をする予定である。
特別課題研究Ⅱ 戦後教育学の遺産の記録-担い手への聞き書き調査を中心に(担当:木村元理事)
企画者 | 木村元(一橋大学) |
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小玉重夫(東京大学) | |
司会者 | 木村元(一橋大学) |
報告者 | 植竹丘(日本教育大学院大学) |
子安潤(愛知教育大学) | |
コメンテーター | 田中昌弥(都留文科大学) |
神代健彦(京都教育大学) |
戦後教育学を構築し担ってこられたいわゆる第二世代(戦前においてすでに学問形成を遂げ、戦後を迎えるにあたってすでにエスタブリッシュしていた第一世代に続いた世代)からの聞き書きを中心に、戦後の教育学研究の成立と展開を証言でとらえる作業をすすめてきた。当事者に行った聞き書き記録は報告書に納め、それをもとに大会の特別課題研究の枠で報告をつづけてきた。今年はそれを踏まえた3度目の報告となる。
今回の報告では、この間実施した市川昭午国立学校財務・経営センター名誉教授/国立教育政策研究所名誉所員と竹内常一國學院大学名誉教授の聞き書きを中心に、それらを戦後の教育行政学、生活指導研究の展開の中で押さえた報告をおこなう。
植竹報告では、本年実施の市川氏への聞き書きをふまえて、氏を通して見た教育行政学、及び教育行政学が戦後教育学に占める位置づけについての整理及び考察をおこなう。子安報告では、事情で二度に分けて掲載することになった竹内氏の聞き書きの後半(1970年代以降を対象としたNo3所収分)を、生活指導研究動向とかかわらせて報告がなされる予定である。