日本教育学会 第78回大会

The 78th Annual Conference of Japanese Educational Research Association

開催概要

日本教育学会第78回大会・世界教育学会10周年記念大会のご案内

2019年3月

日本教育学会会員各位

日本教育学会第78回大会実行委員会
委員長 斉藤 利彦

日本教育学会第78回大会と世界教育学会10周年記念大会は、2019年8月5日(月)、6日(火)、7日(水)、8日(木)の4日間にわたって、東京都豊島区にある学習院大学と文京区にある東京大学安田講堂(5日のみ)で開催します。

学習院大学は、戦前からの伝統をふまえつつ、1949年に新しい私立大学として開学し、「ひろい視野 たくましい創造力 ゆたかな感受性」を教育目標として掲げています。現在、法学部・経済学部・文学部・理学部・国際社会科学部の5学部17学科と、大学院6研究科、専門職大学院(法科大学院)を備えていますが、その中に最も新しい学科の一つである教育学科(文学部)があります。開設されたのは2013年4月、最初の卒業生が2017年3月の卒業ですので「若すぎる」といってよいほどの学科です。学生定員50名、専任教員スタッフ13名という小規模な学科ですが、今回大任をお引き受けする次第となり、教育研究についての活発な交流の機会となるよう準備をすすめてまいりたいと思っております。

プログラムの構成と発表の形式は従来通りです。「自由研究発表」・「ラウンドテーブル」「シンポジウム」・「課題研究」を中心に構成し、7日の午後に総会、夕方に懇親会を行います。「自由研究発表」は、第68回大会以来採用されている「一般研究発表」と「テーマ別研究発表」に区分し、7日と8日の午前中に並行して時間をとります。「ラウンドテーブル」は6日の夕方です。「シンポジウム」・「課題研究」は7日と8日の午後にそれぞれ一本ずつ開催します。「シンポジウム」は公開とし、テーマは、7日〈現代社会における教養と市民的自治〉、8日に〈持続可能な社会と教育〉を予定しています。

さらに、今大会の新たな試みとして、6日午後に〈日中韓教育学会会長シンポジウム〉を企画します。

なお、今大会は、世界教育学会10周年記念大会と共催という形となりました。そのため、日本教育学会大会と世界教育学会大会の両方にご参加いただく場合の参加登録の方法を、本案内の「10.日本教育学会大会と世界教育学会大会の双方に参加する場合の留意点」にまとめておりますのでご参照ください。

二つの大会を同時開催にしたことで、例年8月下旬の大会が8月上旬開催と、大幅に日程が前倒しで変更されております。

また、それにともない発表申込み締切日も、下記のように、例年よりも早めに設定せざるを得ない状況となっております。この点、御注意ください。

加えて、大会受付け場所が二つの大学となる等、会計業務が複雑となることに鑑み、金銭処理の安全性と危機管理の観点から、事前の参加申し込み(参加費の事前振込み)を原則といたします。詳しくは、以下の「申し込み方法」をご覧ください。

以上の点にご留意いただき、多数の方のご参加をお待ち申し上げております。

1 .開催日

2019年8月5日(月)、6日(火)、7日(水)、8日(木)

2 .会 場

東京大学安田講堂(8月5日のみ):
  【東京メトロ地下鉄丸ノ内線、都営大江戸線「本郷三丁目」駅】下車、徒歩7分

学習院大学(8月6日・7日・8日):
  【JR山手線「目白」駅】下車、徒歩30秒
  【東京メトロ副都心線「雑司ヶ谷」駅】下車、徒歩7分
  【都電荒川線「学習院下」、「鬼子母神前」駅】も利用可


 *詳細は、学習院大学および東京大学のホームページ・交通アクセスをご覧下さい。
  http://www.gakushuin.ac.jp/univ/etc/access.html
  https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/campus-guide/map01_02.html

 ◎宿泊は、各自ご手配くださいますようお願いいたします。

3 .日 程

4 .大会参加の事前申し込み(参加費事前振込み)

前記のように、大会受付け場所が二つの大学となる等、会計業務が複雑となることに鑑み、金銭処理の安全性と危機管理の観点から、事前の参加申し込み(参加費の事前振込み)を原則とさせていただきます。詳しくは、以下の「7.大会までのスケジュール」と「8.申し込み方法」をご覧ください。

5 .実行委員会

日本教育学会第78回大会実行委員会(◎委員長、〇事務局長)

◎斉藤利彦、〇諏訪哲郎、飯沼慶一、岩﨑淳、久保田福美、栗原清、佐藤学、
 佐藤陽治、嶋田由美、長沼豊、宮盛邦友、山﨑準二、石山雄貴、堀江久樹


世界教育学会日本大会開催実行委員会(◎委員長、○副委員長)

◎佐藤 学(学習院大学)、○北村友人(東京大学)、○中村雅子(桜美林大学)、
 ○小玉重夫(東京大学)、○丸山英樹(上智大学)、松浦良充(慶応義塾大学)、
 額賀美紗子(東京大学)、荻巣崇世(名古屋大学)、草彅佳奈子(東京大学)
 川口純(筑波大学)、小入羽秀敬(帝京大学)

6 .連絡先

日本教育学会第78回大会実行委員会:jera782019@gmail.com
  〒171-8588 東京都豊島区目白1-5-1 学習院大学

世界教育学会10周年記念大会(WERA)実行委員会:https://wera-tokyo.com

7 .大会までのスケジュール

*前記のように、事前の参加申し込み(参加費の事前振込み)を原則としたことにともない、研究発表申込みも同時に開始いたします。この点、従前までの大会と異なりますので、ご注意ください。

① 大会参加の事前申し込み(参加費の事前振込み)
参加申込(参加費の事前振込み)の開始日 2019年3月15日(金)
参加申込(参加費の事前振込み)の締切日 2019年7月10日(水)
② 「自由研究発表」(「一般研究発表」と「テーマ別研究発表」)、
            「ラウンドテーブル」の申込み(Web登録)

日本教育学会第78回大会
発表申込の開始日 2019年3月15日(金)
発表申込みの締切日 2019年4月19日(金)
世界教育学会東京大会
発表申込の開始日 2018年10月1日(月)
発表申込みの締切日 2019年3月15日(金)
③ 「発表要旨集録」掲載原稿の提出締切(PDF入稿)
2019年 4 月22日(月)~ 6 月28日(金)

④ 大会プログラム送付
2019年6月中旬発送予定
(世界教育学会大会の申し込みのスケジュールは、https://wera-tokyo.com をご覧ください。)

8 .参加申込み、研究発表申込み方法(「自由研究発表」(「一般研究発表」と「テーマ別研究発表」)、「ラウンドテーブル」を含む)

日本教育学会第78回大会用特設サイトにおける新「大会参加・研究発表申し込みシステム」に基づき、各会員によるweb登録で行ないます。大会参加、研究発表をご希望の方は、上記「大会までのスケジュール」の申込みの開始日、申込みの締切日の日付にしたがい、下記大会ウェブサイトの申込みフォームに必要事項をすべて書き込んで下さい。受付開始は3月15日(金)です。

申込みはすべてウェブサイト上でおこないます。お申込みいただきますと、自動的に受領確認メールがすぐ送信されます。確認メールが届かない場合は、下記メール・アドレスにご連絡ください。

申込み先ウェブサイト  https://srv4.asp-bridge.net/jera/form_input/
 メールアドレス     jera782019@gmail.com

*申し込み~入金までの流れは、以下のとおりです。
 ①登録サイトより申込本人情報を入力します。メール・アドレスは必須となります。
 ②入力されたメール・アドレスに申込フォームのアドレスとID/Passを送信します。
 ③申込フォームにID/Passでログインします。
 ④参加申込と支払方法(バーチャル口座振込、クレジット・カード決済、コンビニ決済)
  の選択をおこないます。
 ※コンビニ決済は3月20日(水)以降からになります。
 ⑤研究発表の有無を同時に登録します。研究発表申込み締切後は、研究発表の有無は
  登録できません。

9 .大会参加費・懇親会費

大会参加費 正会員 当日 8,000円
正会員 事前振込割引 7,000円
学生会員 当日 5,000円
学生会員 事前振込割引 4,000円
臨時会員 8,000円
臨時会員(学生) 5,000円
ラウンドテーブルのみ 5,000円
懇親会費 正会員 5,000円
学生会員 4,000円
臨時会員 5,000円
臨時会員(学生) 4,000円

10. 日本教育学会大会と世界教育学会大会の参加登録の方法

前記のように、今大会は、世界教育学会10周年記念大会と共催という形となりました。日本教育学会大会と世界教育学会大会のどちらかの参加登録(参加費の支払い)をすることで両方のプログラム(部会、シンポジウム、基調講演、課題研究、ラウンドテーブル等)に参加できます。発表する場合は、発表する学会大会に参加登録をしてください。両方の学会で発表する場合は、両方の学会大会への参加登録が必要です。

参加登録は以下のように行ってください。

(1)日本教育学会大会のみで発表を行う場合:
 日本教育学会大会のサイトで参加登録をしてください[8.を参照]。
 世界教育学会大会のプログラムにも参加できます。
(2)世界教育学会大会のみで発表を行う場合:
 世界教育学会大会のサイト(https://wera-tokyo.com)で参加登録をしてください。
 日本教育学会大会のプログラムにも参加できます。
(3)日本教育学会大会と世界教育学会大会の両方で発表を行う場合:
 両方の学会大会のサイトで参加登録をしてください[上記(1)と(2)を参照]。
(4)どちらの学会大会においても発表を行わない場合:
 日本教育学会大会のサイトで参加登録をしてください[8.を参照]。
 世界教育学会のプログラムにも参加できます。
(5)世界教育学会大会で司会者や指定討論者を務める場合:
 世界教育学会大会のサイト(https://wera-tokyo.com)で参加登録をしてください。
 日本教育学会大会で発表する場合、日本教育学会大会の参加登録は不要です。
(6)世界教育学会大会のSocial Party(50ドル)と日本教育学会大会の懇親会(5000円/学生4000円)はそれぞれのサイトから別途、登録と支払いが必要です。

11.自由研究発表(一般研究発表およびテーマ型研究発表)

会員による研究発表の場として、前回大会同様、「A.一般研究発表」と「B.テーマ型研究発表」を設定します。いずれについても、研究発表を希望する会員は自由に応募できます。「A.一般研究発表」では、研究領域別の分科会を編成します。「B.テーマ型研究発表」では、さまざまな研究課題について焦点化された特定のテーマを設定し、分科会を編成します。

(1) 開催予定分科会

下記の分科会の開催を予定しています。ただし、研究発表の応募状況によっては、分科会の名称変更や再編をおこなうことがありますので、あらかじめご承知おきください。

【一般研究発表】
  A1 教育理論・思想・哲学
  A2 教育史
  A3 学校制度・経営
  A4 教育行財政・教育法
  A5 比較・国際教育
  A6 教育方法・教育課程
  A7 生活指導
  A8 教科教育
  A9 発達と教育
  A10 技術・職業教育
  A11 幼児教育・保育
  A12 初等・中等教育
  A13 高等教育・中等後教育
  A14 教師教育
  A15 社会教育・生涯学習
  A16 教育心理学
  A17 カウンセリング・教育相談
  A18 特別支援教育
  A19 図書館・教育情報学

【テーマ型研究発表】
  B1 市民性教育の課題
  B2 学校のリアリティと教育改革の課題
  B3 世界の教育改革動向
  B4 若者の移行過程変容と学校
  B5 ジェンダーと教育
  B6 道徳教育の改革動向
  B7 教員政策
  B8 戦後教育史の諸問題
  B9 教育学の問い直し
  B10 子ども問題と教育・福祉
  B11 情報・メディア・テクノロジーと教育
  B12 東日本大震災と教育学研究
  B13 知的財産教育の研究を推進するために
  B14 Educational Issues from Global Perspectives(English Session)
  B15 (テーマ未定)
   *B13は公募により新設されたテーマです。

(2) 申込み方法

前記8と同様です。発表希望の方は、4月19 日(金)までに下記大会ウェブサイトの申込みフォームに必要事項をすべて書き込んでください。受付開始は3月15日(金)です。申込みはすべてウェブサイト上でおこないます。お申込みいただきますと、自動的に受領確認メールがすぐ送信されます。確認メールが届かない場合は、下記メールアドレスにご連絡ください。

申込み先ウェブサイト  https://srv4.asp-bridge.net/jera/form_input/
 メールアドレス     jera782019@gmail.com

(3) 発表資格

研究を発表することができるのは、①本学会の会員で、4月19日以前に2018年度までの会費を納入済みの会員、または、②4月19日までに2019年度の入会申込み手続きをとり、2019年度会費を前納した方、のいずれかに限ります。

(4) 発表時間

個人研究発表 発表時間25分+質疑5分

共同研究発表 発表時間50分+質疑10分

※共同研究であっても口頭発表者が1名の場合の発表時間は、個人研究発表と同じです。

(5) 発表要旨(『発表要旨集録』の原稿)の提出

発表を申し込んだ方は、研究発表の「原稿作成要領」(大会ウェブサイトに掲出)にしたがって発表要旨(『発表要旨集録』の原稿:PDF見開き2頁分)をWeb登録でのPDF入稿アップロードにてご提出ください。分量オーバーの場合、3頁目以降は掲載されませんので御注意ください。提出期日は6月28日(金)です。
 ※『発表要旨集録』に掲載された内容は、科学技術振興機構(JST)の研究情報データベース「J-STAGE」において公開されます。
 ※当日、プロジェクターを利用される方は、各自パソコン(VGA端子対応)をお持ちください

12 .ラウンドテーブル

会員の創意で自主的に企画される研究交流・意見交換の機会です。多くの会員の皆様のご応募をお待ちしております。

(1) 申込み方法

前記8と同様です。開催希望の方は、4月19日(金)までに下記大会ウェブサイトの申込みフォームに必要事項をすべて書き込んで下さい。受付開始は3月15日(金)です。申込みはすべてウェブサイト上でおこないます。お申込みいただきますと、自動的に受領確認メールがすぐ送信されます。確認メールが届かない場合は、下記メールアドレスにご連絡下さい。

申込み先ウェブサイト  https://srv4.asp-bridge.net/jera/form_input/
 メールアドレス     jera782019@gmail.com

(2) 企画者・報告者等の資格

企画者・報告者は、①本学会の会員で、4月19日以前に2018年度までの会費を納入済みの会員、または、②4月19日までに2019年度の入会申込み手続きをとり、2019年度会費を前納した方、のいずれかに限ります。非会員が報告者(提案者)となることは可としますが、報告者(提案者)の半数は会員としてください。非会員の報告者は受付でラウンドテーブルの参加手続きをしてください。

(3) 発表要旨(『発表要旨集録』の原稿)の提出

発表を申し込んだ方は、研究発表の「原稿作成要領」(大会ウェブサイトに掲出)にしたがって発表要旨(『発表要旨集録』の原稿:PDF見開き2頁分)をWeb登録でのPDF入稿アップロードにてご提出ください。分量オーバーの場合、3頁目以降は掲載されませんので御注意ください。提出期日は6月28日(金)です。

※『発表要旨集録』に掲載された内容は、科学技術振興機構(JST)の研究情報データベース「J-STAGE」において公開されます。
 ※当日、プロジェクターを利用される方は、各自パソコン(VGA端子対応)をお持ちください

13 .課題研究

(1)課題研究Ⅰ:義務教育を問い直す

(担当:村上祐介・研究推進委員会)

教員の多忙化は教育学や教育関係者だけでなく、広く社会的な問題として認識されるようになっている。中央教育審議会は学校における働き方改革特別部会での審議をふまえて、2019年1月に「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」(答申)を発表した。そこでは教職調整額を定めた給特法を当面維持しつつ中長期的な課題として位置付けるとともに、一年単位の変形労働時間制の導入を選択肢の一つとして打ち出すなどの提言がなされている。

教育学では、教育社会学や教育行政学の研究者がさまざまな場で教員の働き方改革に関して発信しており、その見解も多様である。一方で、教員の多忙化や今回検討されている働き方改革について、教育や教職の専門性という観点を絡めて教育学としてどのように考えればよいかということは、実はまだ十分に検討されていない面があるようにも思われる。今回の課題研究では教員の多忙化や働き方改革についてのこれまでの議論をふまえつつ、教育学内外の視点を交えて検討してみたい。

(2)課題研究Ⅱ:「Education and Citizenship: Empowering People for a Global Society/教育とシティズンシップ:グローバルな社会における人びとのエンパワメントに向むけて」

(担当:堀本麻由子・研究推進委員会)

昨年の課題研究Ⅱでは、米国からハリー・ボイト(Harry Boyte)氏を招き、今日要請されるシティズンシップ教育の新たな展開について検討を行った。その背景には、グローバル時代の公教育が、新自由主義による市場の優位と伝統的な社会民主主義による官僚統制の台頭という2つの社会的圧力にさらされているという認識があった。シティズンシップ教育もこれらの構造的な変化と密接に関係しており、両者を乗り越えるような生産的なシティズンシップの重要性が見出された。

本年は、昨年の課題研究Ⅱの問題関心を引き継ぎつつ、グローバルな社会に生きる人びとをエンパワーするような「社会とつながる学び」を基軸としたシティズンシップ教育について議論を深めたい。現代社会では、グローバルな諸課題(排外主義の拡大や民主主義の危機、格差、テロリズム、移民・難民をめぐる対応等)が深刻化しており、多様な背景をもつ人びとが互いの声に耳を傾けながら、協同的な学習を通して解決の方向性を見出すことがますます重要になってきている。本課題研究では、日本及び諸外国における、市民が参加と協同を通じて社会をともに創り出そうとする教育/学習活動に着目し、政策及び実践を通じてどのように人びとのエンパワメントを実現しようとしているのかを検討する。なお、本課題研究は、通訳をつけない英語のみでの開催を予定している。

14.シンポジウム

(1) 公開シンポジウムⅠ:「現代社会における教養と市民的自治」

現代社会において求められる「教養」の再構築の課題が提示されて久しい。

例えば、日本学術会議が2010年に提出した「現代市民社会における教養と教養教育-21世紀のリベラル・アーツの創造」である。「人間、自然および社会に関わって人類が共有しなければならない『知』とは何か、『知』の専門分化と膨大な発展をその根本において理解しうる基礎的な『知』とは何か。全分野を包摂する学術の地平において、これをとらえる試みが必要とされている」。

そうした課題の一環として、現代社会において生起し深刻化する様々な問題や課題に合理的に対応し、それらの問題や課題の解決に向けての多様な取り組みに参加・協働する知性・智恵・実践的能力の形成が求められている。それは、国民主権・市民的自治によって支えられている社会を形成するための最も重要な基盤となる。まさに、教養と自治をつなげながら掘り下げることは、歴史を通しての現代の教育改革にとって喫緊の課題であろう。

そこで、本シンポジウムでは、第一に、国際的かつ歴史的な視野から、高等教育を中心とした教養と自治の課題について、福井憲彦氏(学習院大学名誉教授・フランス史)に、総論的な報告していただく。第二に、現代社会において若者が直面する市民的自立の困難さと、それを乗り越える教養のあり方を問うために佐貫浩氏(法政大学)に報告していただく。第三に、学校教育の場での市民的教養の育成と生徒自治の課題を中心にして、公民科教育の立場から梅野正信氏(上越教育大学)に報告していただく。

全体として、現代社会に求められている教養と自治をどのように創造していくのか、について議論していきたい。

(2) 公開シンポジウムⅡ:「持続可能な社会と教育」

地球温暖化に伴う豪雨災害の激甚化などの生態的な持続可能性の危機、世界全体で進行する格差の拡大や日本における少子高齢化に伴う地域の活力低下といった社会的な持続可能性の危機。これらの危機が深刻さを増す中で、2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030 アジェンダ」に記載されたSDGs(持続可能な開発目標)には、政府やNPOばかりでなく産業界も同調し、持続可能な社会の構築に向けた大きな潮流が生まれている。SDGs17のゴールの4番目のゴールには「質の高い教育」が掲げられている。また、新学習指導要領では「持続可能な社会の創り手」を育むことが学校教育の目標と前文に書かれるとともに、高等学校の社会科系必修科目などで「持続可能な社会」が大きく取り上げられている。本シンポジウムでは、持続可能な社会の構築に教育がどのように貢献しうるのか、そのために教育がどのように変わるべきか、教育と社会の連携を一層進めるためには何が求められているのか、などについての議論を深めることを目指す。

15.日中韓教育学会会長シンポジウム:「東アジアの教育改革」

日本教育学会大会における初めての企画として、中国、韓国、日本の教育学会の会長による国際シンポジウムを開催することになりました。「東アジアの教育改革」をテーマに、基調報告として、中国教育学会の钟秉林(Zhong, Binglin)会長、韓国教育学会の金聲烈 (Kim, Seong Yul) 会長、日本教育学会の広田照幸会長の三氏に、21世紀のグローバルな教育課題と、それぞれの国における教育改革の動向や教育研究の課題等を語っていただきます。

パネルディスカッションと会場の参加者からの発言を通して、東アジアにおける教育改革と教育研究について、その課題認識を共有するとともに、個別の課題についても互いの理解を深めたいと思います。すでに多くの学生がお互いの国で学び、教育実践や教育研究の共同や交流も進んでいる中で、このシンポジウムの開催は、教育学会としての今後の互いの協力のあり方を模索し、議論を深める場ともなることが期待されます。

このシンポジウムは日本教育学会大会初日の最初の大きな企画となるもので、日本語、中国語、韓国語の同時通訳による開催を予定しています。

16.若手交流会

6日(火)のラウンドテーブルの後、18時30分から若手交流会を開催します。詳細につきましては、追って、会員メールや大会HP等でお伝えします。

17.昼食

学内の松本楼(中央教育研究棟12階12時から14時30分まで)やセブン・イレブン店が利用可能です。また、駅至近のため、付近には多数の飲食店があります。ご利用ください。

18.懇親会

7日(水)の「公開シンポジウムⅠ」と課題研究Ⅰの終了後、18時30分より学内の松本楼(中央教育研究棟12階)を会場に、懇親会を開催いたします。事前申込みの必要はありませんので、ご来場の際に、受付にてお申込みください。

19.託児

司会をしてくださる方、発表される方(ラウンドテーブルの企画者等も含めて)につきましては、参加するための託児サービス(自宅でヘルパーを依頼する場合も含む)を利用した際の費用の半額を、実行委員会で負担させていただきます。領収書、あるいは金額がわかるものを当日ご持参ください。