「9月入学・始業制」に関する提言書の提出と記者会見について

「9月入学・始業制」問題検討特別委員会

2020年5月22日(金)14:00、文部科学省の担当者に、「9月入学・始業制」に関する提言書:9月入学よりも、いま本当に必要な取り組みを-より質の高い教育を目指す改革へ-、を提出しました。その後、15:30より、文部科学省において記者会見を開催しました。記者会見に臨んだのは、広田照幸氏(学会長、日本大学教授)、乾彰夫氏(「9月入学・始業制」問題検討特別委員会委員長・東京都立大学名誉教授)、清水睦美氏(同委員会委員、日本女子大学教授)、中村高康氏(同委員会委員、東京大学教授)、末冨芳氏(同委員会委員、日本大学教授)の5名です。

「9月入学・始業制」に関する提言書につきましては、以下のリンクをご参照ください。

提言書は、9月入学への制度変更が拙速になされようとしている状況に対して、教育学の専門的立場から、そのメリット・デメリットについての論点を整理し、同時に、今本当にやるべきこと/できることについての提言をまとめたものです。提言書は、「はじめに」「第Ⅰ部:9月入学・始業実施の場合必要な措置と生じる諸問題」「第Ⅱ部:いま本当に必要な取り組みに向けて」「おわりに」の4つより構成されます。「はじめに」では、9月入学に移行しても国際化の効果は限定的であること、それは学校教育現場に大きな混乱をもたらすこと、巨額の財政負担は免れ得ないこと等に触れています。「第Ⅱ部」では、8つの論点、つまり「①いま、急いでやるべきこと、できること」「②『学びの遅れ』の心配に応える」「③『学力の格差拡大』の心配に応える」「④子どもたちのケアへの必要に応える」「⑤再開後の学校の大変さを支える体制づくり」「⑥大学や専門学校等の教育に求めたいこと」「⑦入試・就職の不安に応える」「⑧必要となる人員と予算」について、いま考えるべきこと/取り組むべきことを具体的に提案しています。そして、「おわりに」では、夢と希望を作り出す学校への転換を目指し、「コロナ禍という危機を夢と希望の学校づくりへのチャンスに」「学力とケアを保障する持続的な学校へ」という将来に向けての展望を描いています。

声明文(2020.5.11)に続きこの提言書(2020.5.22)も、マスコミでさまざまな取り上げられています。これは本学会におけるこのたびの一連の取り組みが、社会から大いに注目されていることの表れです。学会の社会的使命とは何かを改めて考え直す機会とするためにも、今後の動向に注目していきたいと思います。

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